チェンバロの歴史

16世紀、底板を基礎として支持材を組み薄手の側板を貼り合わせた構造の細長いケースが特徴の「イタリアン・スタイル」のチェンバロが多く製造され楽器としての地位を確立。

その後17世紀、現ベルギー、オランダ地域であるフランドル地方のルッカース一族により、頑丈な側板が構造の基礎となる「フレミッシュ・スタイル(フランドル)様式」が確立され、5オクターヴ近い音域を持つフランス(クラヴサン)、力強い音と美しい化粧張りのケースが特徴のイギリス(ハープシコード)、ドイツ(フリューゲル)など、呼び名も製造工法も各国独自の様式が拡がっていきます。

フランス宮廷文化が華やかな18世紀、「フレミッシュ・スタイル(フランドル)様式」を進化させ、二段鍵盤と5オクターヴの音域を備えた「フランス(クラヴサン)様式」チェンバロが最終的な完成形となり、現代においても標準的なチェンバロの地位を得ることになります。

18世紀後半からピアノの興隆により、ルネサンス音楽やバロック音楽で広く使用されたチェンバロはしばらく姿を消していくのですが、20世紀に入り、古楽の歴史考証的な演奏のためにチェンバロが復興され、クラシックのみならず、現代音楽やポピュラー音楽でも用いられるようになっているのです。

久保田チェンバロ工房 BASICシリーズについて

チェンバロ初心者向けとして、一段鍵盤であるフランドル地方ルッカースによる「フレミッシュ・スタイル(フランドル)」をベースとしたBASICシリーズ

邦人チェンバロ奏者 鍋島元子女史(故人)の依頼で学生向けの廉価な練習用チェンバロの依頼からスタートしたBASIC・RUCKERS=普及タイプ一段鍵盤チェンバロは、アクション系を重視し、古典的な装飾要素を省略し実用的な扱いやすさを優先させた、チェンバロ練習に向いた初心者向けのスタンダード・モデルとなります。

素材の吟味や丁寧な加工技術で作成された木材の樹質を生かしたシンプルな意匠は造形的様式美を持ち、あなたのお部屋に違和感なくマッチします。